小さな小さな恋物語
その顔で知っていたんだってわかる。


「なんで、あたしだけには教えてくれなかったの?
そんなにあたしには信頼ないのかな?」


「それは違う! あたしは智流君じゃなくて崇に聞いた。

聞いた後に直ぐさま佑希にも話そうって思った。だけど、智流君の意思を無視して話してもいいのかなって…」



そんな言い訳じみた言葉なんていらないよ。


結局は智流君はあたしを信頼してないことと一緒なんだ。



「佑希」


亜依は心配そうな顔であたしの名前を呼んだ。


亜依。ごめん。今はうまく笑えないや。


俯くと自然と涙が流れた。


そんなあたしを亜依は何も喋らずに頭を撫でてくれた。


その優しさが嬉しくてあたしは静かに泣いた。



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