流れる星を見つけたら

食事は最高だった。

さすが予約の取れない店。
前菜からデザートまで完璧。
色鮮やかな旬な野菜
絶品のトマトソース
添え物のパスタが美味しすぎる。
これが添え物なんてもったいない
単品でもいける。

本気で食べる私に引き気味になる社長と、優しく見守るお姉さん。

そして
薄笑いの男と食べながら目が合う。

「何?」

「見事な食べっぷりだと思って」

大きなお世話だ。

社長が口にしたパンの食べ口を見て、お姉さんが「あらぁ」と手を頬にゆっくり当てる。

ゴズロリお姉さん
本当は
かなりの占い師とか。

ジェラードを食べ
サービスのエスプレッソをイケメンシェフからいただいてから、私は本題に入る。

「それで犯人は誰よ」

邪悪刑事に聞くと
彼は爽やかに答えた。

「そこの店長と従業員に決まってるでしょう」

社長と私が目を丸くして「えっ?」と叫び、お姉さんは上品にエスプレッソを口に運んだ。

「防犯ガラスは割れてないし、店は閉めるって言うし。盗んだ宝石を売りとばし保険金をもらっておしまい。どんだ茶番ですよ」

エスプレッソを飲み干し
刑事は実につまらなそう。

「そんな重要な話していいの?」

こんな民間人にそんな話して

「証拠がないから推理にしかならない。だからこれは誰もがわかっている結果としての僕の推理論です」

回りくどい言い方だ。

「あいつらグルなのか?そうなのか?あいつらが犯人なのか?」
怒りの社長。

「……はっきりとは言えませんが」

いや言ってるじゃん。
社長は男の発言に今度は肩をガッカリ落してるし

どうしたマー君。

「気の毒に思って……見舞金渡してしまった」

俺様社長

俺様だけど
人がよすぎる。
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