モノクロ
 
***


「良かった……! 遥と啓太がくっついて!」


マンガの連載が始まって、2年半。

じれじれだった二人の関係がやっとで変わった。

困難やすれ違いを乗り越えての成就。

この先また困難なことが二人を襲い掛かるんだろうけど、きっと二人で乗り越えていくんだ。

ほくほくとした気持ちで私はマンガ本を閉じる。

マンガの中のキャラクターが幸せだと、自分まで幸せな気持ちになれる。


「いいなぁ……」


はぁ、と私は息をついて、ベッドにぽふんと寝転がった。

私の頭の中に浮かぶのは紀村先輩の笑顔。

出逢った瞬間からずっと先輩のことが頭から離れてくれない。

出逢ってからまだ3日。

なのに、もうこんなに先輩のことが好きなんだなぁ、私……。

一気に世界が変わった気がしちゃうよ……。

そう自分の恋心に浸りながら部屋を見渡すと、あちらこちらに散乱しているマンガの山が目に入った。


「……。」


はぁ、とさっきの感嘆の息とは違うため息が、私から溢れ落ちた。

 
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