闇
ボールを蹴って走っているのは、曽根倉君だった。
短い茶髪が、風に さらさらと靡いている。
短パンから覗く足は、思っていたより筋肉質で、少し、どきっとした。
ゴールの間近迄 迫った曽根倉君の前に、2人、相手チームの男子が現れる。
取られる、と思った瞬間。
曽根倉君は前に在ったボールを くるりと踵に回し。
バックパスを した。
誰も居ない空間。
其処に、白銀の光が翔び出す。
一発でトラップを決め、ボールを手中に したのは。
日差しが強くて暑いにも関わらず、長袖 長ズボンのジャージを着た――。
椎名君だった。