闇
一瞬、何が起きたのか、解らなかった。
私に伸ばされた、翔織の両腕。
その指先は、私を拒んでいた。
自分が突き飛ばされたのだと解るのに、そう時間は掛からなかった。
拒絶。
拒絶、された……。
見れば翔織は、荒く息を つき、喘いでいる。
その紅い瞳は、揺れている。
「……ぁ……。」
彼も無意識に やったのだろう、自分の した事に気付いて、慌てて私に触れようと する。
私は その手を避けると、彼の家を飛び出した。