合縁奇縁~去る者は追わず来る者は拒まず
「ま、料理の腕もなかなかだし、これで夜のお相手までしてくれるなら言うことないんじゃない?
春子、婿に取ればいいのに」
取り皿にアボガドと海老のサラダをよそいながら良子が呟く。
「あ、それいいですね。
春さんに早く子ども産んでもらって、俺は専業主夫になる、と……」
すかさず山城が笑って応えた。
「本気? 今どきの男子って、そういう願望あるんだ」
良子が驚いて聞き返す。
「外で働く価値って、俺にとってはたいして大きくはないです。
そりゃ、俺にしかできない遣り甲斐のある仕事、っていうならわかるけど。
世の中のほぼ九割の仕事は、代わりの利くルーティーンワークじゃないっすか?
必ずしも俺でなくても、俺と同等の能力ある誰かがいれば、誰も何も困らない」
チラリと山城がわたしを見て、何故か不敵に微笑んだ。