春風
出逢い
   『君がこの空に浮かぶ太陽なら
      僕は春の風になろう
    君が夜を漂う波なら
      僕は空に浮かぶ月になろう』
 僕の書いた詩が誰かに読まれて、僕はハッとした。
声のする方を見たら、一人の女性がにこやかに僕の方を見てなにやら紙を差し出している。
「これ、君の?」
「そ、そうですけど。」
「落ちてたよ。」
僕の詩は、いつの間にか風に飛ばされていたらしく、それを彼女が拾ってくれたのだ。僕は、ベンチに座り、詩のアイデアを模索していたため、気がつかなかったらしい。
「ありがとうございます。」
僕が礼を言うと、彼女は再び口を開いた。
「いい詩だね。自分で作ったの?」
「あ、そうです。詩を書くのが趣味なんで。」
「変わってるね。」
「そうですか?」
「うん。だって、私の周りにはそんな人居ないもん。」
「たまたまじゃないですか?」
「そっか。じゃ、頑張ってね。詩人さん。」
「あ、はい…。」
彼女は少し微笑んで、この公園を後にした。
僕は、はじめていい詩だとほめてもらえたことにうれしくなって、またアイデアを練りはじめた。
ベンチの前の池に映る僕のにやけ顔が、なんだか恥ずかしくもあり、うれしくもあり、不思議なむずがゆい気持ちだった。
あたりが暗くなり、僕は公園を後にした。
僕は、家に帰っても、うれしい気持ちでイッパイだった。
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