【B】(第一夜完結)Love around ※第二夜準備中
先生のプラトニックな優しさ。
SEXに対して感じた印象が印象だったから、嫌悪感しか感じられなかったはずなのに
気がついたら先生に抱かれたいって望んでしまう私もいる。
だけど……私には、先生を求める資格も何もない。
最悪の事態こそ、免れていたけど……私自身は、こんなにも穢れてしまっているから。
どれだけ求めても叶えることのない夢なんて、
恋なんて……優しくされるほど、後が辛くなるよ……。
この病院に来て、まだ三カ月もたっていないのに
私の時間では一年以上も過ぎてしまったようにも感じる。
このままずっと、先生の優しさに溺れ続けてしまったら
今度は別の意味で前に進めなくなるかもしれない。
プラトニックな優しさが、
こんなにも辛すぎるものだなんて想像すら出来なかった。
ちゃんと香穂と決別して私は本当の意味でちゃんと自分の足で自立して新生活を送らなきゃ。
鷹宮には、堺を辞めて水谷さんを頼って逃げるように来てしまったけど
今度はちゃんと前を歩き出すために、この場所を離れなきゃ。
多分……今、私の中に芽生えてる自分でもどうにもならないこのドキドキが本当の恋なのだと思えるから。
気がついたら、自分でも気づかないうちに、
先生をボーっと視線で追いかけてるそんな仕草も……先生のことを感じながら苦しくなる思いもすべてが、
本当の恋なのだと感じられるから。
私はその日、仕事を最後まで終えると総師長の元へと訪れる。
私の決意を伝えて、この病院を離れる許可を貰うため。
「李玖ちゃん、思いとどまることは出来ないの?」
「すいません。
だけど短い間でしたが、父が入院してた時にずっとお世話してくださってた
水谷さんの元で働けて凄く嬉しかったです」
「あらっ、李玖ちゃん……知っていたの?」
そう私にとっての、水谷さんは……この道を歩き出したきっかけ。
私が小学生だった頃、すい臓がんで天国に旅立ってしまったお父さんの
担当看護師をしてくれていた存在。
そしてお母さんにとっての先輩看護師。
この水谷さんとの出逢いで、私はこの道を選んだ。
だからもう一度、心から看護師って言う仕事と向きあいたい。
今度は、もっと本気で。
「はいっ。
水谷さんは私にとっての憧れの看護師さんですから。
本当にお世話になりました」
深々とお辞儀をして、私は総師長室を後にした。
ちゃんと自分の足で独立する。
一人で逞しく生活できるように。
引っ越しの手続きは終わった。
あの家に帰るのはやっぱり怖いから、
あの家の近くにマンションを契約した。
実家で生活するのは母。
そして私は実家とマンションを往復する。