恋するplants

In his room.



 「もうちょっと言い方考えて発言してよね。・・・どうなるかと思ったじゃない!あ~怖かった」


 ○○駅を降りると,先に歩く柏の背中に文句を言った。


 「何が?」


 「何がじゃなくて・・・さっきの女子高生に対してよ。もっと丁寧な言い方で頼べば怒ることもなかったんじゃない?」


 「え~、頼んで言うこと聞いてくれそうな感じじゃなかったけど?」


 確かに・・・って違う。


 年上なんだからマナーはきちんと教えないとね。


 「でも、さっきの柏、テレビによく出てる芸人並みの毒舌ぶりだったよ」


 「俺、あの人好きだもん」


 ダメだ・・・話が逸れてしまう。


 頭を抱えてもういいとため息を吐くと、前を歩く柏が急に振り返った。


 「言わないよ」


 「え?」


 「ちえりが嫌がるなら、言い方考えるよ。キツイ言い方はしない」


 「うん」


 柏がにこりと笑ったので、一瞬どきりとした。


 生意気で意地悪そうな笑い顔ではなく、自然に見せた優しい笑みに思わず拍子抜けしてしまった。

< 23 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop