恋するplants


 今度は上の空間が開きすぎてしまった。


 余白と文字とのバランスもあって1つの作品だって祖父も言った。


 ・・・もう1度・・・


 「筆は力を入れず軽く持って・・・指先じゃなく、腕を使って・・・」


 ここはとめて・・・はらい・・・最後はすっと筆を上げていって・・・


 うん、いい感じにできた


 「うん。上手にかけてる。芹はのびのびとしたいい字を書くな」


 爺ちゃん?


 祖父の声が聞こえた気がした。


 筆を置き、目を閉じたら瞼の裏に祖父の笑顔が現われた。


 何だ・・・ちゃんと思い出せるじゃないか・・・大好きだった祖父の笑顔が・・・ぽたり、暖かいものが頬を伝って半紙の上に落ちた。


 涙は「芹」の字を滲ませていた。




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