二度目の片思い
と、そこでふと、床に散乱したものの中のある衣類に目にとまった。

あ、れ? もしかして、あのシャツ……。

記憶の中にある、その、センスのいい黒いシャツは。



「(──うそ、)」



だって、そんなはずない。

だって彼と私は、そんな──。


こくりと、唾を飲み込む。

自分の後ろで寝息をたてる人物に気付かれないよう、ゆっくりと、からだを動かして背後を振り返った。

そして、件の人物の顔を確認した私は、呆然とする。

……嘘でしょう?

かすれて声にもならない、吐息のような呟きが、思わずもれた。



「……越田、くん……」



今自分の目の前で無防備に眠る、その男性は。

私が高校生の頃、2年近くも想いを寄せていたクラスメイトの越田 和晴くん、その人だった。
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