悠久を君に
始まりはここから

My brother

「おーれーのーハットどこーー!?」

バタバタと家の中を忙しなく駆け回る足音がする。

「はぁ…」

また始まった。
兄貴の悪い癖で、すぐに物をどこにやったか忘れてしまう…そう、本当に悪い癖だ。

俺は廊下を出て玄関に向かうと、目的の物が目に入った。

「あるじゃん…兄貴―!!」

「あ、悠平!!俺のハットどこにあるか―…って、あ!ハット!」

「玄関にあった」

「サンキュ!!」

いい加減学べよ、といつも思う。
もう24歳…いや、もう4月だから今年で25歳なのにも関わらずだ。
落ち着く気配がまるでない。

「飲みに行くの?」

「そうっ!」

ニコッと愛嬌のある笑顔で笑う兄貴は、玄関にある鏡でハットを被り、帽子の位置を微調整していた。
正直、何度やってもあまり変わらない。

兄貴は最近よく出掛ける。というか、ほとんど飲み会らしいが。

ある時、聞いてみた。

"大学の?"

"いやいや、小学校の時の奴らだよ!"

(小学校?)

俺が不思議そうな顔をしていたからか「小学校のメンバーで集まらないかって誘われて行ってから、何度か皆と集まってんだ」と嬉しそうだった。
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