【短編】甘い野獣を愛してる
 だが、一番好きなところは、チョコレートの包み紙を破るトキだな。

 チョコレートをキレイに包んだ包装紙は、着飾った女の服みてぇじゃね?

 テープにそってちまちま開くのも悪くねぇが、一気に引き裂くのもイイもんだ。

 女の悲鳴の表現で『絹を裂くような』ってぇヤツがあるだろ?

 チョコレートの包み紙を破るときも、そんな声が聞こえるような気がする。

 チョコレートは、イイぜ。

 服を破られ、悲鳴を上げる女に無理やり口付ければ、やがてとろけて、甘いキスが返ってくる……みたいで、刺激的だ。

 ……って、なんてぇ表情(かお)してオレを見るんだ。

 チョコレートに例えた女って、お前のことだぜ? マリア。

 ああ、ああ、お前との出会い方は、最悪だったって認めるぜ。

 面倒くせぇ、セリナの件にも関わらせちまったからな。

 あの時は、本当に悪かった。

 でも、もう二度と、オレはお前に乱暴はしねぇ。

 他の女に手も出さねぇし!

 二度と、不安な思いだってさせたくねぇ。

 …………だが……

 すまねぇな。

 こんなオレがお前に惚れちまって、さ。

 本当は、オレみたいに半端なヤツは、誰も愛しちゃいけねぇのに……

 だが、もうダメだ……ダメなんだ、マリア。


 お前を離したくない。


 オレは、お前を愛してる……


 オレは、死なねぇ限り、お前とは別かれられねぇ運命を感じてるんだ。
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