我妻教育〜番外編〜

その肆

「2人とも、まだ帰っていないの?」



使用人と運転手の前で、私は時計を確認した。


家に帰ったら、若葉くんたちがまだ我が家に帰ってきていなかったから。



「若葉さまが、寄ってくるところがあるから、乗っていかないとおっしゃったので…」


だから初等部から我が家まで車で連れて帰って来なかったのだと、運転手は申し訳なさそうに肩をすぼめた。



17時半を過ぎている。


帰宅がまだでも、慌てるような時間ではないけれど。


今夜は兄と一緒に出かけるから、早く帰るという約束だったはずなのに。


…なぜ?



眉をひそめつつ私は若葉くんの携帯電話をコールした。


「出ないわ…」

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