あなたのギャップにやられています

もちろん、隣の部屋の前であの男に見せつけるようにして肩を抱いた雅斗が、今度は本当のキスをするから驚いてしまう。

私の心の準備ってものは……一切無視らしい。


「ちょ……」

「俺、嫉妬深いの。最初に言っておくね」

「あはは。気を付けます」


にっこり笑った彼が怖い。
だけど、私だって付き合うと決めたからには、彼を裏切るつもりなんてないし。



「ちょっと待って」


雅斗は部屋に入った瞬間、ドアスコープから外を覗いた。


「冴子、寝室行ってて」

「えっ、うん」


訳が分からないままその場を離れ、寝室のドアを少しだけ開けて様子をうかがっていると、雅斗が玄関のドアを一気に開けたのが見えた。


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