あなたのギャップにやられています
私は早速、雅斗の隣のデスクに座ってパソコンを開いた。


「冴子さん、これ」

「あっ、直さなくちゃ」


“さん”づけに変わった雅斗の目が仕事の時の鋭い目に変わる。
会社ではほんわか天然キャラの彼だけど、デザインに向き合うときの目は、別人だ。


もう彼がなにをしてほしいのか、あうんの呼吸でわかる私は、出来上がっているデザインに細かい修正をかけていく。


「そう言えば深谷さん、連絡ありましたか?」

「ううん、まだ。でもそろそろあると思うわ」


深谷さんというのは、雅斗の作品をとても気に入ってくれている食品会社の重役さんだ。

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