あなたのギャップにやられています
一方木崎君はずっと芸術肌で、美大卒業のその道のエリートだ。
そのわりにはおごり高ぶっている様子もなく、ただひたすらに楽しそうにデザインしているのが印象的。
どうも話を聞いていると、こうしたデザインより風景画や人物画を描きたいようだけど、「それじゃあ飯が食えないし」なんて言っている。
「それで、なに?」
「ここの色が気に入らないんですけど、もう少し抑えてみてくれません?」
「あのさ、そのくらいのパソコン知識、覚えなよ」
「だって、冴子さんがいてくれるから」
「たく……」
そんなことを言いながらも、頼られるのは嫌じゃない。