あなたのギャップにやられています

一方木崎君はずっと芸術肌で、美大卒業のその道のエリートだ。
そのわりにはおごり高ぶっている様子もなく、ただひたすらに楽しそうにデザインしているのが印象的。


どうも話を聞いていると、こうしたデザインより風景画や人物画を描きたいようだけど、「それじゃあ飯が食えないし」なんて言っている。


「それで、なに?」

「ここの色が気に入らないんですけど、もう少し抑えてみてくれません?」

「あのさ、そのくらいのパソコン知識、覚えなよ」

「だって、冴子さんがいてくれるから」

「たく……」


そんなことを言いながらも、頼られるのは嫌じゃない。


< 2 / 672 >

この作品をシェア

pagetop