あなたのギャップにやられています

「いつか冴子を描きたいんだ」

「私?」

「うん。できればフルヌードがいい。もちろん俺しか見ないからさ」

「はーっ?」


なんだろう。
こんなに頭が混乱する会話は、生まれて初めてだ。


「ねえ、冴子?」

「えっ?」


木崎君が突然色気のある声を出す。
この人、こんなに色っぽかったっけ?
私の後をはいはいとついてくる印象だったのに、どうして……。


「俺のこと、嫌い?」


『嫌い?』って……嫌いじゃないよ。
だって嫌いな人とは仕事だってしたくないもん。


私がこんなに仕事にのめり込むのは、木崎君がいるからなんだ、きっと。
彼の作品も謙虚さも、そしてひたむきさもむしろ好き。

あれ? 好き?
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