あなたのギャップにやられています

いざ出陣。

部長の計らいで、引き継ぎが終わりきらなかった今日はまだデザイン部への出勤だ。
だけどおそらく今日が最後のデザイン部。
雅斗と一緒の仕事も終わり。

気持ちに区切りをつけたとはいえ、やっぱり寂しいのに変わりはない。


「おはようございます」

「おはよう」


雅斗が部署に入っていくのに続いて、私も一緒に入った。
いつもより早く出勤したからか、来ているのは部長だけだ。
すると、挨拶を返してくれた部長の前に、雅斗がつかつかと歩み寄った。


「戸塚部長」

「おぉ、なんだ」

「冴子さんは私にとって必要な人でした。
私はこれからも頑張りますが、いつか冴子さんを……」

「わかってる。時を見て必ずここに」

「ありがとうございます」


雅斗の発言にも驚いたけれど、それよりもっと驚いたのは部長の言葉だった。
営業部に役立たずと言われようと、私はここに来てよかった。

最後の最後に、こんな嬉しい言葉をもらえるなんて、すごく幸せだ。

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