あなたのギャップにやられています

外に出ると、木崎君はあまりしゃべらなくなった。

いつもそうだ。会社でも必要なことだけ。

時々一緒に食事に行っても、仕事のことを私が一方的に話して、彼はうんうんと聞くだけだった。

だけど、それが嫌かというとそうでもなくて、ろくにデザインもできない私の話を真剣に聞いてくれたし、いつもニコニコ聞いてくれる彼に、仕事でトゲトゲになった心も癒されていたような。



「寒くない?」

「うん、大丈夫」


これが彼氏っていうやつなんだ。
久々に味わう感情に胸がドキドキしっぱなしだ。

中学生かよ! って突っ込みたくなるほどに、気持ちが高揚していた。



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