ブラッディ トゥ ナイト

すると彼女は私に背を向けて、水を飲み始めました。

「貴方は……初乃咲萌さんですよね?どーしたのですか?」

「あの子は眠ってるわ。私はヒツキ」

すぐに理解は出来ませんでしたが、彼女は二重人格なのだと思いました。

「あの子は酷く心身を痛めているわ。だから私が助けてあげるの」

彼女は水を飲み干し、こちらに体を向けましたが、顔は伏せたままでした。

私に顔を見せないまま、彼女は初乃咲萌に起きた悲劇を語り始めました。

私は相槌を打ちながら、彼女の話を聞いていました。

その間、同情する様な言葉は掛けませんでした。

可哀想だとは思いましたが、顔を伏せたままの彼女にその様な言葉は、彼女を傷付けるだけだと思ったからです。

< 353 / 379 >

この作品をシェア

pagetop