Chain~この想いは誰かに繋がっている~
そして、私の口から出てきたのは……

「ごめんなさい……」

謝罪の言葉だった。


「ごめんなさい…ごめんなさい……」

もう、それしか言えなくて、私はひたすら謝った。

「もういいよ。わかったから。」

顔を覗かせて、また優しい言葉をくれる。


「謝る必要なんてないんだ。俺が勝手に引き留めたんだから。」

「ごめんなさい。」

「ほら、また謝る。」

そのテンポのいい突っ込みに、私は笑ってしまった。


「そうだよなあ。引越しの手続きも終わってるんだろうし。新しい生活に、気持ちも片寄ってるもんなぁ。」

彼は自分に言い聞かせるように、地下鉄の天井を見上げた。

「あっ、もう少しで次が来る。」

電光掲示板に表示された時間に、彼は時計と見比べた。


「田舎に帰るんだよね。」

「はい。」

「あっちに行っても、元気で頑張って。」

あんなに私を引き止めた割には、あっさりとした別れの挨拶。
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