Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「ねえ、映梨子。あのお客さん、狙ってるでしょ?」

「へへ……バレた?」

バイト仲間で一番仲がいい、美希の前ではデレデレ。

「…バレたじゃないよ。仕事に支障が出てるって。狙うなら狙うでいいけど、仕事はちゃんとしなよ。」

「承知。」


同じバイトの身分だって言うのに、痛いとこつくな~。

美希ってば。


たまたま時給が良かったってだけで、映画好きでもないのに、映画館で働いている私・伊勢映梨子。

木曜日の遅い時間にバイトをしているのは、掛け持ちしているもう一つのバイトが休みと言うこともあってだ。

せっかくの休み。

朝から働くのは、ちょっと気が引けるな~なんて思っていたら、このバイトを見つけたわけだ。


「それにしても、さっきのお客さん。必ずこの時間帯に来るよね。」

「ああ、メンズデーだからでしょ?」

美希の質問に、すかさず答える。

「だからって、毎週?一人で?」
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