想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
「おはようございます。」


会社に居ても、あたしと木下サンは、一切プライベートな話しはしない。


ただ、ひたすら


会社の同僚。






――プルルルルルル♪ 


朝礼前に電話とは、かなり珍しいな……


「ありがとうございます。ウェディング・カレン、木村と申します。」



鳴り響いた電話の一番近くに居たあたしは、受話器を上げた。



「あ、木村サンですか?神崎ですが……。」


!!


「神崎様〜!おはようございます!」


「おはようございます!すみません、早くにお電話してしまって……。」


「構いませんよ〜♪どうされました?」


今日は特にご来店される予定は無い。


「いえ、ちょっとご相談がありまして……今日、お伺いしてもよろしいですか?」


「全然大丈夫ですよ。何時ごろお見えになりますか?」


「仕事終わり次第向かいますので……夕方5時半くらいには……。」


「かしこまりました〜。お待ちしております♪」


「よろしくお願いします!」


「はい、失礼いたします。」


あたしは、神崎様が受話器を置くのを見計らって、電話を切った。


相談……?


なんだろ……。


最初の頃は、志保様ばかりと、お話していたけど、最近やっと神崎様も心を開いてくれたようで、直に話しをする事が増えた。


そういうのは、嬉しい♪




あたしは、事務所内のホワイトボードの今日の日付の欄に、“神崎様来店”と記入し、朝礼の席に着いた。






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