想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
「あ…の、あたし、帰ります!」


「え!?」


驚く木下サンをよそに、あたしは駅の方向に体を向けた。


「さっきは助けて頂いて、ありがとうこざいました!おやすみなさい!!」


あたしはそう言うと、駅に向かい、走りだした。


一度も振り向かずに。


木下サンは今、どんな顔をしているだろう



ごめんなさい


ごめんなさい



お姉ちゃんを苦しめてまで……



あたしは幸せになれないから……



あなたは……


ただの……


会社の先輩……



今は、涙が止まらないけど


明日には、笑わなきゃ。



大丈夫。


あたし、強いもん。








< 84 / 320 >

この作品をシェア

pagetop