夜香花
「悪かったね。……まぁ、二人しかいない党なんて、党ともいえないだろうけど」

「そうだな。お前が産まれた頃には、もうすでに瓦解してたんだろう」

「戦がいろいろあったっていうしね」

 呟き、深成はふと思い出したように、顔を上げた。

「わらわは毎日毎日帰ってたわけじゃないんだよね。三日とか五日とか、わらわがそれなりに大きくなったら、十日ぐらい毎にしか、帰ることはなくなったんだよ」

「それなりに大きくって、いつの話だよ」

 真砂からしたら、深成などまだまだガキだ。
 見かけも行動も。

 そもそも子供というものが、よくわからない。
 赤子でない、という程度でしか、認識しないのだ。

「うん? う~ん、ここ三、四年ぐらい?」

 いや、もっと前かも、と首を捻る深成に、真砂は冷めた目を向ける。
 その視線に、深成は非難がましい目を返した。

「だって、しょうがないじゃん。三、四年前って、わらわは何歳だと思ってんのよ。記憶もままならなくても、しょうがないでしょっ」

「八つか七つぐらいだろうが。赤子じゃあるまいし、その辺の記憶ぐらい覚えておけ」

 ぐ、と深成が黙り込む。
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