He killed himself.
始まり
[朝 通学路]

『なぁつきー聞いてた~?』

『何を?』

『だぁから~今日、はれて私達は高校二年せーになりぃ。…入学式、イケメン』

『後輩を食べるな 』

 
『ぷりーず ぎぶ みー  出会いをぉぉおおおおお!』

『もう、言ってることメチャクチャだから』

高校の門を目前に急に走り出した友人の背中を見て呆れながらも、吹き出してしまった。

私の名前は上條 捺喜[かみじょう なつき]
そして、さっき話してた友人は宇 詩[うじの うた]おっとりとした話し方。破天荒。かわいい。 誰からもにくまれない子。

羨ましいなって思う。少しだけ。

特に何の感動もなく門を抜けると昇降口付近に人だかりが見えた。
 クラス名簿が張り出されているのだろう。
あ、ウタ発見。
近づくと向こうから話し掛けてきた。
『クラス名簿見てきたです』
『どうでしたか?詩サン!』
ノってあげた。
『離れたぁ~』
『あらーまじですかい。私何組?』
『なつきは~A組。私はC組ぃ。もぅ生きていけない』
泣くジェスチャーをされましても。誰とでもすぐに仲良くなるくせに。
『泣けてねーよ』
半笑いで返す。
『泣いてないもーん。てか、正直こんなんでなかないしぃ』
意外とコイツ腹黒いんじゃないかと思う。

『さぁーて、教室行きますか』
あの人だかりに入らずにすんだのは良かった。
詩に感謝感謝。
『はぁーい』
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