たまごのような恋 殻を割ったそのとき
たまごのような恋6
 数日後に支樹の風邪は治って、すっかり元気になった。
 今日は用事があって、家に来ない。つまらないから外へ出かけることにした。私は歩きながらどこへ行こうかと考えた。映画館は前に行ったし、本屋もつい最近行った。とりあえず電車に乗って、普段あまり行かないところで降りてみよう。
 支樹、今頃何をしているのだろう。この時間なら昼食を食べているだろうな。
 電車から降りて、改札口を出てから少し歩いていくと、いろいろな店があったので、ほっとする。今日は単独行動だけれど、次は誰かと一緒がいいな。今日は平日だからか人がとても少ない。喫茶店でのんびりとお茶をしている人たちがいれば、写真を撮影している人もいる。
 ふと、空を見上げると、猫の形をした雲を発見し、思わず笑った。

「何笑っているの?」

 いきなり声をかけられたので、びっくりした。

「ごめんなさい。驚かせてしまって・・・・・・」

 目の前にいる知らない女の子。頭の中で容姿端麗という四字熟語が思い浮かんだ。

「ねぇ、聞いている?」
「あ!すみません。雲の形が猫みたいだったから」
「どれ?」
「えっと、あの雲です」
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