あいのうた



「でもいいなぁ、羨ましい」

「?」



やって来た学校でそう呟いたのは、同じクラスの友人・麻紀。首を傾げる私に麻紀は長い睫毛をぱちぱちとさせる。



「だって夏菜のお父さん、若くて格好良くて素敵じゃん!」

「ただのアゴヒゲおじさんだよ」

「そこがまたワイルドでいいんだって!」

「そうかなぁ?」



ワイルド…?

朝の寝ぼけた顔が思い出されて、その言葉がいまいちしっくりとこない。


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