向かいの窓の小さな彼。

友哉くんと桜と話をしていると
純粋に楽しかった。


ただ、ふとした瞬間に思い出す。



…峡がいない。




喋らなかったとはいえ、中学までずっと同じ学校に居た。

私にとっては、喋らなくても、峡が、近くに居るのは当たり前だった。


でも、その峡が

今日からは近くに居ない。




なんかポッカリ穴があいた感じだった。



「…ちゃーん、春ちゃーん!」

「あっ!えっ?!はいっ!」

「あー戻ってきた!(笑)春ちゃんはさ、彼氏とかおれへんの?」

「いっ…居ないよー!ずっと居ない!」

「そうなんや?おりそうやのになー!」

友哉くんは、私の顔を覗き込みながら言った。

「この子ね、幼馴染に、峡って子がおったんやけど…」

「あー桜っ!その話は…ね?」

「きょう?…まあ細かい話は追い追いなっ!(笑)今日は楽しい話いっぱいしよか!」



友哉くんに峡の話をするのは
少し抵抗があった。





友哉くんは、学校の寮に住んでいるらしい。

サッカー推薦で入学したらしく、
スポーツは万能。

うちの学校はサッカーがすごく強くて
全国から生徒が集まってくる。


その中の一人なんて、
友哉くん、顔も良くて完璧すぎる…(笑)


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