【完】結婚からはじまる恋《1》
「そうか…決心したか・・・」



「でも、曾孫は無理だ…許してくれ」




「訊いている。でも、頼に家族ができて…安心だ。お前は自分に厳し過ぎて…私から見ても痛かった…そんな風に追い込んだのは私かもしれない…。でも、伴侶である深幸さんには存分に甘えなさい…」



「…じぃ…ちゃん!?」




俺は後継者となる父さんを失い、失意の底にいたじぃちゃんに甘えられなかった。



小学生だった俺を引き取ってくれた祖父母。



一人息子の父は二人の惜しみのない愛を受けて育った。


俺よりもエリートだったし、仕事だってできた男だ。




父さんが会社を継いでいればもっと会社だって大きくなっていたかもしれない。



そんな有能な父を卑劣なテロで失ったのはじぃちゃんにとっても会社にとっても大きな損失だった。




俺が父さんの代わり、死ねば良かったとさえ思った。
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