ハロー、バイバイ!
シャルドネの告白


「私が高二の春のことなんだけどね。

お母さんの再婚で、
苗字が変わったの。


新しい苗字は『黒い木』って
書いてクロキ。
私は美紗でしょ。

黒木美紗。
クロキ、ミサ…


発音次第では、ちょっと怖いよねえ?17歳の女の子には、ちょっとヘビーな現実でしょ?

でも、うちのお母さん、8歳年下の男と結婚出来て、チョー浮かれてて、そんなこと気付かないの。

40過ぎだっていうのに、完全に恋に狂ってて。
急に耳にピアスの穴、開けたりとかしてるし。
今更ねえ。

いや、その時は、ちょっと勘弁してよって思っちゃったけど。

私が年長さんの時に離婚してから、ずっと
1人で頑張ってきたんだもん。
新しいお父さんも、すっごくいい人でほんと良かった。


私が大人になった今、思うのね。

そんな歳になっても、恋が出来るの、ちょっと羨ましいかなって…」





美紗は新しい彼が出来ると、大抵初めてのデートで、この話をした。

そして、相手の反応で、恋占いをする。


母のピアスのエピソードを、

「ほんとよくやるよね」

とか馬鹿にしたみたいなことを言う奴は
問題外だ。


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