ペテン死のオーケストラ
空は赤く日暮れを知らせています。
町の賑やかさも薄れ、少し寂しい雰囲気です。

マルメロとストケシアはテラスの椅子に腰掛けました。
二人共、黙ったまま。

最初に口を開いたのはストケシアでした。

「マルメロ様、どうされたのですか？」

遠回しではなく、単刀直入に聞いてきます。
マルメロは正直に話し始めました。

「私の母が倒れたとの知らせがあったのよ。すぐに戻れってね。でも、勝手に城は出られない。だから、王に許しを得るために事情を伝えたのよ。でも、王は許して下さらなかった。それどころか、私に説教をしたのよ。サイネリアを見習え、とね」

ストケシアは驚いた表情です。
マルメロは続けます。

「確かに無茶な願いだとは思うわ。でも、母が倒れたのよ？慈悲をくれても良いと私は思うの」

「それは、大変でしたね。お母様の容態は？」

「全く分からないわ。ただ、倒れたとだけ書いてあったの。元気な母だったから信じられないくらいよ」

「マルメロ様はお母様を大切に思ってらっしゃるのですね」

マルメロは驚きます。
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