ペテン死のオーケストラ
ジキタリスはマートルの髪をわしづかみにして怒鳴りました。

「勝手に籍を入れやがったな!違法だぞ!お前は犯罪者だ!!警察に連れていく!」

マートルは血の気が引きます。
確かに勝手に籍を入れました。
しかし、マルメロのため。

それに、結婚してくれるとジキタリスが言ったからです。

「違う!ジキタリスが良いって言ったんじゃない!?」

マートルは叫びます。

「マルメロを産んで良いって!側にいてくれるって!」

「知らねぇ!覚えてねぇよ!!とにかく、お前は犯罪者だ!」

「違うわよ!変な言い掛かりはやめて!なら、離婚すれば良いじゃない!」

「ふざけんな!俺の戸籍が汚れたんだ!その汚れを取らない限り俺の人生は真っ暗だ!」

「汚れじゃない!ジキタリスが良いって言ったのよ!?無茶苦茶よ!離婚して!」

ジキタリスはマートルを殴ります。
マートルは顎に強い痛みを感じ言葉が出ません。

ジキタリスは怒鳴ります。

「元々、結婚なんかしてねぇよ!勝手にお前が赤ん坊を産んだんだろ!?」

ジキタリスの目は吊り上がり、また悪魔の目になっています。

「やっぱり殺しとくべきだったんだ!!」

ジキタリスはマルメロを睨みつけ怒鳴りました。

マートルは痛みで声が出ません。

ジキタリスは、マルメロの方に歩きだします。

マートルは全身の毛穴が開き恐怖を感じます。
痛みを堪え、立ち上がりジキタリスの背中を掴みます。

「やめて!やめて!やめて!」

マートルは頭が混乱しています。
ジキタリスは、そんなマートルを振り払います。

「触るな!こいつのせいで、何もかも終わったんだ!」

そう言うと、ジキタリスはマルメロの腕を引っ張りました。
マートルは駆け寄りますが、ジキタリスに突き飛ばされます。

ジキタリスはマルメロの腕だけを持ち、引っ張り出します。
痛みからか、マルメロが泣き叫びます。

マートルは目を見開き怒鳴ります。

「やめて!マルメロに触るな!!」

「こんなガキの何が良いんだ?悪の元凶だ!」

ジキタリスの言葉を聞いた瞬間、マートルの中の全てが弾け飛びました。
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