ペテン死のオーケストラ

ライバル

「サイネリア…、ついに再会ね」

マルメロは、美しいラベンダーのドレスを着て鏡の前に立っています。
今は、靴だってドレスに合うものが履けます。
それに、口紅もマルメロの専用の物です。
髪だって、美容師が美しく整えてくれます。

１４才の時、緊張しながら舞踏会に出かけたマルメロとは違うのです。

鏡の前には、立派な大人の女性が立っています。

「私は美しいわ。でも、まだ上はあるはず…」

マルメロは自分に酔いしれながらも、気持ちを引き締めました。

そして、大嫌いな自分の頭文字の金のペンダントをつけます。

「自分に対する戒めね」

マルメロは、笑いが込み上げてきました。

笑いを押し殺し、ハンノキの元に行きました。

「おお！マルメロよ、何て美しいんだ！さすが、ワシの妻だな！」

ハンノキは、マルメロを見て感動しました。

「ん！？マルメロよ、そのペンダントは？」

ハンノキがマルメロの金のペンダントに気づきます。
マルメロは微笑み答えました。

「こういう事ですわ。サイネリアから以前、頂きましたの。だから、私もお返ししたくて。私とサイネリアは仲が良いのですよ」

「なるほど！マルメロは可愛らしい事を好む奴だな！サイネリアとやらも喜ぶだろう！」

「ええ、きっと大喜びしますわ。早く、お会いしたい」

マルメロは、体がウズウズとしてきました。
サイネリアに会う事で、自分の嫌な過去を消せると信じていたからです。

「マルメロの願いだ！最速でむかえ！」

ハンノキが、命令します。
マルメロとハンノキを乗せた馬車は、領土主の家へと走りだしました。
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