ペテン死のオーケストラ
両親は離婚をしており、母親と二人暮らし。

母親は朝から晩まで働いています。

母親の疲れた顔を見ると、マルメロは何も言えませんでした。

母親は口癖のように言います。

「生きてるのが辛い」

マルメロは、その言葉が大嫌いでした。
マルメロにとって母親は大切な存在だからです。

マルメロは聞きます。

「どうして辛いの?」

母親はマルメロを見て、涙目で答えるのです。

「幸せなんてウチには来ないからだよ」

幼いマルメロには、難しすぎて言葉が出ませんでした。

ただ、とても悲しくて辛くて恐い言葉だということは伝わってきます。

だから、マルメロは言います。

「お母さん、一緒にいて」

マルメロには、これしか言えませんでした。
母親がいなくなることが恐くて仕方なかったのです。

マルメロは、皆に悪口を言われても良いから、母親が側にいてくれるよう願いました。

「お母さん、生きて」

マルメロは、必死に母親に言いました。
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