ペテン死のオーケストラ
ハンノキは大笑いし、アザレアは目を潤ませています。

マルメロは、わざとらしく言いました。

「あ!そうだわ。サイネリアにプレゼントがあるの!」

「え!!本当に!?」

「サイネリアのために、特別に作らせたのよ」

マルメロは、綺麗に包装された箱をサイネリアに渡しました。

「サイネリア、結婚おめでとう」

サイネリアは、感激して号泣です。
知らない町に一人嫁いできたサイネリアにとって、マルメロは神様のように見えたのです。

「ありがとう!こんな幸せな気持ちは初めてよ!開けても良い?」

「もちろんよ。サイネリアが喜ぶ物よ」

サイネリアは、丁寧に丁寧に箱をあけました。

「マルメロ!?これ!」

サイネリアは、叫びに近い声でマルメロに言います。

「マルメロとお揃いのペンダントだわ!嘘でしょ!?信じられない!だって、このペンダントは私の町でしか手に入らないのよ!?」

「ふふ。私の主人の手にかかれば余裕なのよ」

ハンノキは「当然だ!」と、上機嫌です。
周りの人々もハンノキを少し見直しました。

マルメロはサイネリアに言います。

「友愛の証にサイネリアに贈るわ。これからも、よろしくね」

「あぁ、マルメロ!もちろんよ!」

マルメロはご機嫌でした。
自分がペースを握ったからです。
周囲の人々も、マルメロに歓声をあげています。
マルメロのシナリオ通りに事が進み大満足です。

「まずは、サイネリアの心を開かせる…。仕返しは、それからよ」

マルメロは、微笑みながら腹の底から沸き上がってくる厭らしい笑いを必死に抑えていました。
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