ペテン死のオーケストラ
プチ・ガーデンの泉の水にマルメロは自分の顔をつけました。

冷たくて、外の音は全く聞こえず、水の泡の音と自分の鼓動だけが聞こえます。

「私は、冷たい女だわ」


マルメロは、泉から顔をあげました。

顔に風があたり、冷たさを増します。

「でも、人間なのよ」


自分の鼓動の音を聞き、少し安心したマルメロは空を見上げました。

「私は、私の夢のために生きる」

空は高く、秋の訪れを知らせています。

濃い緑の葉も、赤や黄色に染まりカラカラと音をならし舞っています。

「必ず、私が1番になるのよ。1番にならなければ認められない」

マルメロは、自分の価値を知りたいのです。
どこまで行けるか、虐められ、悪口を言われ続けていた自分がどこまで行けるのか。
マルメロは、他人からも自分からも認めさせたいのです。

「町の貴族程度の価値しかないとは思いたくない」

自分の価値を信じ、マルメロは先へと進みます。
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