ペテン死のオーケストラ
マルメロは王に対しても、態度を変えません。

「私を1番に愛して下さいね」

何の迷いもなく、王へ色目を使うのです。

王は、そんなマルメロを可愛がります。

「マルメロは可愛らしいな。もちろんだ。マルメロが1番だぞ」

「言葉だけでは嫌です。何かで証明してください。例えば、妾を一人捨てるとか…」

マルメロは、片方の口角だけを上げたお得意の笑顔を見せます。
王はたじろぎますが、マルメロの攻撃には逆らえません。
マルメロの口説きにより、王の妾が次から次へと消えていきます。
消えていく妾は、マルメロの事を悪く言う者です。

「ふん。王を操っているのは私よ」

マルメロは、高飛車な態度を周囲に振り撒きます。
サイネリアが咎めても、マルメロは耳をかしません。

当然、マルメロの評判は最悪になっていきます。

「あの女は何を考えているのだ?」

「恐ろしい女だ」

「王は何を考えているのだ」

人々はマルメロを下品な女と罵りました。
マルメロは、そんな言葉を聞いても余裕です。

「あぁ、快感だわ。権力は素晴らしい!いくら悪口を言われても、王の愛を受けている私には勝てないのだから!」

マルメロは、顎を少し上に上げ見下す目で人々を見るのです。

しかし、マルメロには一つだけ気掛かりがありました。

それはサイネリア。

サイネリアも、王からの愛を受けていたのです。
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