キズだらけのぼくらは
マウスを握る右手が大きく震えだして、マウスが机の上から落下する。
床にたたきつけられた音は部屋中にこだました。
私は声も出せずに画面にくぎ付けになるばかり。
怖くて、唇まで震えた。
心臓は騒がしく音をたて、耳元で鳴っているかのようにイタズラに鼓膜を震わせる。
私は今にも恐怖の波にのみこまれそうになる。
それでも私は、どうにか自分を取り戻したくて、震える手で頭を抱え、瞼を固く閉じた。
けれど蹲ったままの私はまた、恐る恐る画面を覗きこんでしまったのだ。
【私は、あなたの正体を知っている。自分を偽って生きて、本当にあなたは楽しいですか?】
私はノートパソコンを壊さんばかりに力いっぱい画面を閉じた。
額には冷や汗が吹き出て、息切れまでしている。
なんでこんなメッセージが……?
一体どこの誰が?
動転している私の目線の先には、床に落ちたマウスが無様にひっくり返っていた。