キズだらけのぼくらは


「あっれ~、あまりにショック過ぎて、壊れちゃったの~? 大丈夫~?」

秋穂が私の肩を強くゆすりながら、イヤな笑みを浮かべて私の顔をのぞきこもうとする。

それでも私は秋穂のことを見る気はなく、ぼうっと前を向いていた。

「元々壊れてたっけ、アンタは。ああ~あ、触っちゃったから手が汚れちゃったじゃん」

なにを見るわけでもない視界に、埃を払うように手を振る秋穂が映りこむ。

それでも私は、呆然と立っている。

なぜだろう。秋穂の言うように、私は壊れているのかもしれない。

これは夢ではなく本当に現実なの?

だって、どれもこれも、現実には見えないんだ。

どこか、異空間にでも放りこまれたみたい。

まっ白な廊下に出されていた古い私たちの机も、私の名前が黒板にでかでかと踊っていることも、地べたで泣いている結愛も。

目の前に広がる光景が、全部、信じられないの……。

だって、私たち3人のこんな話が漏れるわけない。


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