キズだらけのぼくらは


さっきまで胸がつまっていたけれど、笑顔に囲まれてご飯を食べていると美味しくするすると胃に落ちていく。

うさぎリンゴ入りのお母さんのお弁当も、悪くないのかも。

するとそんな時、ポケットに戻したスマホが震えた。

空になったお弁当箱を置いて確認すれば、ブログにメッセージが来たという知らせ。

メッセージを開封すれば、差出人はアキムだった。

【この間はサンキューな……。救われた。言いたかったのはそれだけだ。じゃあな】

一瞬で読み終わるそっけないメッセージ。

だけど、アイツの精いっぱいのお礼……。

なにか、かすかに笑い声が聞こえた気がして、ドア横の梯子を上った先を見上げる。

アイツと目が合う。

高い所にひとり呑気に寝そべったアイツが、私の方を向いて薄笑いを浮かべている。

私は笑いながらため息ひとつ。

まだメルアドも知らなかった。

直接言わずにメッセージで言うところがひねくれたアイツらしいよ。


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