キズだらけのぼくらは


私は簡単にだまされたりしない。

そう思っているいるなら、大間違い。

わざわざアキムがくれたこのチャンスで、絶対にアキムの正体を暴いてやるんだ。

そう心に決めて、返事はいつ来るかと、画面をじっと見て待つ。

すると、やっとブラックがつぶやいた。

【俺たちだって、なにも知らない。アキムがなんでこんなことをしてるのか、俺だって知りたいさ】

そして、ソラはこう言う。

【アキムは私のブログに突然来て、ここを紹介していった。それからは姿もあらわさないよ】

「なんで……」

つい声が漏れた。

パソコンがたてる音は遠のいて、私は画面に吸い込まれていく。

黒い背景の上にはっきりと白い文字で刻まれたソラの言葉しか視界に映らない。

私とまったく同じ手口だ……。

また、アキムが遠くなっていく。

私は静かにチャットルームから退室し、ノートパソコンを閉じた。


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