優しい爪先立ちのしかた

開けた窓から少しだけ涼しい風が入ってくる。

微風がカナンの前髪を揺らした。

「やっぱり、梢に変なこと吹き込んだのカナンだったの」

「あ。今の言い方、梢さんに似てたよ」

「梅雨のこと以外になんか言わなかった…?」

「言ってないよー、あたしそれくらいしか栄生ちゃんの秘密知らない」

唯一知っている秘密をこんなに早く梢に言ってしまうのも考えものだと思うのだけれどね。栄生は遠い目をする。

にこにこしながらカナンが外を見た。ちょうどチャイムが鳴る。五限目が始まる。

外には次の時間がサッカーなのか、男子たちがサッカーゴールの前で遊んでいた。

その輪を、外から見るように外れている生徒が一人。

カナンの目はそれほど悪くないが、悪くたってそれが誰なのかくらい分かる。なんたってここは田舎。

高校でさえ三分の一程は小学校から同じ人。小学校で別れたって、中学校で再会する人だっている。

ここの世界は、案外狭い。



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