生意気なKiss
こないだバイト代が出たばっかりだから、家に帰れば片道の新幹線代くらいある。
ダッシュで家に帰って、バイト代が入っている封筒を引っ掴み家を出ると、
「翼!?」
真向いの家から、部屋着姿の音羽が出てきた。
「は?音羽学校は?」
「今日創立記念日で…って翼こそどうしたの!?学校は!?」
「…今からセンパイのとこ行ってくる」
「…えっ…」
今詳しく説明している時間はない。
音羽に背を向け走り出そうとすると
「翼っ…!」
「…何?悪いけど今「あたし、ちゃんと翼が好きだよ」
音羽がまっすぐに俺を見つめて言う。
「翼は多分、あたしが家族みたいな感じで、翼を好きって言ってると思ってるんだろうけど…ちゃんと好きだから」
「……ごめん。音羽は大事だよ。でも音羽は…俺にとってはもう家族だ。
俺はセンパイが好きだから」
…音羽が拗ねたように目を逸らす。
「…ごめん」
「…とっとと行けば?」
目を逸らしたまま、俺の肩をドンッと押す音羽。
「翼超つまんない。真面目すぎ。何回好きって言っても同じことしか言わないし」
「…ごめん」
「…それで謝りすぎ」
そして最後に俺の目を見てちょっとだけ笑って
「明日からただの幼馴染だから。じゃーね」
…音羽。ありがとう。