ルームシェア ─個性豊かな男達に求められて─
私達が、来たのは。叶君に、連れてこられた人気の少ない学校の裏側。私は、石の段に腰を降ろした。玲好君は、私の隣に座った。

「優花さん、チアガール凄かった。あんなに、人ってとべるんだね…」

ニカッと、太陽みたいな笑顔で微笑んだ玲好君。でも、ちょっと違和感があった。

「玲好君も、格好良かったよ。一番、輝いていたよ。勿論、皆輝いていたけど」

「あはは…。ありがとう…」

「…………、それで?話って?」

私が、話をふると玲好君は急に立ち上がって。私の前に立った。

「ぇっと、……。この後さ?千メートルリレーあるよね?」

「…………?うん、玲好君が走るね。頑張って!」

「あっ、ありがとう…。で、その千メートルリレーで……、その……」

玲好君は、頭に縛っていたハチマキをゆっくり解いた。

「……千メートルリレーで?」

「一位をとったら、俺と……」

「……………」

「俺と、でっ、でででで………」

「……ん?……で?」

でっ、を何で連発で言ってるの?私の疑問は、すぐに吹っ飛ぶ。私が、頭に?マークを浮かべてると…。…次の瞬間、玲好君は大声で叫んだ。

「一位をとったら、俺と、でっ、デートして下さい!!」

ビックリした……。急に、叫ぶから心臓が……。じゃなくて!

「……でっ、デート?!」

私の顔から、火が出てるんじゃないかって位熱く火照った。

「いや!嫌なら、無理とは…。えっと!出掛けると、いうか…。そんな!えっと!恋人みたく、じゃなくて!とっ、友達に映画のチケット二人分貰って!これで、誰か誘って行けって!友達に、言われて!」

「映画?」

「うっ、うん!!映画!今、流行りの青春映画!笑いあり、涙ありの!」

「行きたい!私、映画好きだから!」

「ほっ、本当?!俺と一緒に、行ってくれる?」

「うん!行く!もし、一位とれなくても行く!…って、玲好君が一位とれない訳無いけど!」

「優花さん、地味にプレッシャー掛けないでよ…。凄い、緊張してきちゃった…」

「ごっ、ごめんね?!」

玲好君は、胸をなで下ろしていた。私は、謝ってから、石の段に立ち上がった。

「大丈夫。優花さんと、映画行けるって思ったら一位なんて余裕でとる………よ……」

「「……………」」

玲好君が、顔を上げた時に。

玲好君と、同じ目線で。吐息が掛かるくらい顔の距離が近くて。私達は数分…いや数秒かも。…それくらい時間が長く感じられた。

「……何してんの?」

「「…………!?」」

そこには、不機嫌オーラがプンプン出てる。仁王立ちしている叶君がいた。

「「……別に何も!!!」」

「……ふぅん。……俺とデートして下さいって?一位とったら?友達からチケット貰ったから映画を二人で観に行こうって?一位じゃなくても、行きたいって?そう、何も無かったんだ」

「……玲好、一体いつから居たの?」

「話があるから、来て」

凄い前からじゃん……。

「そんな前から?!玲好、なんで、声掛けなかったの?」

「いいムードになったら、ぶち壊そうと思って」

「………はぁ。なんで、出て来たの?」

玲好君は、溜め息を吐いた。私は、石の段に、また腰を降ろした。

「キスされたら、困るから出て来た。ただ、それだけ」

叶君は、無表情で淡々と冷たく言いはなった。
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