悪魔と天使

記憶

「なんじゃこりゃ」


マルコは青ざめる。目線の先はかなり豪華な料理が置かれている。


「なんだこれは……ってのはなんだ、飯だ悪魔」


看守がそっけなく言う。マルコが看守を見ると同じような料理を食っていた。


「げぇ……」


「なんだ?七面鳥の丸焼きは嫌いか?」


「俺は肉は生でしか喰わん。それに少食だ、ベジタリアンだ。これからはパン一切れと牛乳一杯にしてくれ。たまに旬の野菜をつけて」


「……悪魔の考えはわからん」


むしゃむしゃと食べる看守。マルコは寝る、と言って眼を逸らす。


「交代だ」


一人の天使がツカツカとこちらに向かってくる。


看守はジト目を天使に向ける。


「まだ交代の時間ではなかろう。それにお前は今日は休みだろう」


「俺の休みをお前にあげるから代わってくれ」


看守は諦めて席を立つ。


「また、こいつとお話か。お前の考えもわからん」


看守がツカツカと牢屋から出て行った。


「もういいぞ。言葉遣いを直しても」


マルコは言う。


途端に、今入ってきた天使は目を輝かせてマルコを見る。


「兄貴!今日はどんな話を聞かせてくれるんすか!!」


「まてまてマリク、そんなに急くな」


「う~待てないっす…」


「そうさな……今日は命がけの航海をしたことを話してやろう」


天使の名はマーリク・ベストラン。


マルコが神の間に行く途中破壊した瓦礫に埋まる所を助けた天使の一人だった。
< 16 / 51 >

この作品をシェア

pagetop