【完】愛し君へ、愛の口づけを
「男?男なんてただの性処理道具よ」
俺の言葉に対しての里奈の反応は、予想もできない言葉だった。
まるで憎しみを向けるかのように言う里奈。
「恭介くん、所詮貴方もその一人でしかなかったの。淡い期待させてごめんなさい。結構気持ちよかったわよ。また、どこかで会えたらいいわね」
そう言い残し、里奈は俺の目の前から去った。
その日を境に連絡先も分からなくなり
俺の家庭教師も辞めた。
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里奈との過去。
俺は莉央の胸の中で一から一まで思い出した。
胸の奥にしまっていた忌まわしい記憶。
今の俺を作ったのも、全て里奈。
・・・女を道具として思っていた理由も、里奈への当てつけ。
シては捨て、シては捨てを繰り返してきた日々。
俺のような思いを
その女たちにもさせてしまっていた。
今、ようやくそれに気付いた俺。
涙が止まらない。
止まれと願うほど、止まらない自然現象。