Secret Fetishism【SS集】
「誘惑、してたんだ」


その駆け引きにまんまと躍らされていた事は、たぶんもう気付かれている。

「でも、お前だって俺の事好きだろ?」

「先に言ってくれたら、答えてあげる」

熱を孕んだ瞳(メ)が、あたしを見下ろす。
彼は、ネクタイを緩めながら口を開いた。


「そっちが先に言えよ」

「好きよ、あなたの瞳(メ)が」

「瞳(メ)だけ?」


フッと細められた瞳に、背筋がゾクゾクと粟立つ。


「誰か来たらどうするの?」

「鍵、閉めたくせに」


ほら――。
やっぱり気付かれている。



あたしは、何もかも見透かすようなその瞳(メ)には抗えない――。





             END.


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