sweet milk【完】
broken

私は秋雄に恋をするまで
すっかり自分は

「男の人」に対して

絶望して生きていたんだと
いう事に気づいた。

めちゃくちゃに
短絡的だけれど、
そう結論づけて

もう二度とその事については

一生考えたくもないと、

そうして気持ちのバランスを
取るしかないような出来事が
あったから。



なのに、断片だけが

ぶつぶつと途切れながら

突然、よみがえる時がある。

カーテンを閉める音。

床に転がるビールの空き缶の
飲み口からあふれた吸殻。

耳元で響く、
あれていく息使い。

手首をつかんだ力の
恐ろしかった事。



もう男の人には、
本当にうんざりだった。

うんざりで、がっかりで、
愛想がつきていた。

彼氏すらいなかったのに。


手をつないだ事すら、
なかったのに。
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